【例あり】離婚するとき住宅ローンはどうなる?ケース別の対応方法をまとめた

離婚する時の住宅ローンについて解説

以下のような方に読まれています

離婚を検討しているが、その後の住宅ローンがどうなるのか気になる

共同債務になっているはずだが、離婚後の支払いがどうなるのか心配だ

厚生労働省の調査によると、全体の3組に1組が離婚を選ぶということが示されています。

健康年齢が長期化し、生活の多様化が進んだことで必ずしもネガティブな意味だけを示さなくなりつつある離婚。

一方、それを取り巻く社会環境は時代に追いついていないように感じられます。

住宅ローンは特に、「家族がずっと住む」ことのみを想定してしまっているため、対応が必要になります。

この記事では、ケース別の対応方針をまとめています。

そもそも、住宅ローンを一緒に組んでいても離婚は可能なのか?

結論から申し上げると、可能です。ただし、購入した時点の契約内容によって対処方針が大きく異なってくるため、一概に正解が出せるものではありません。購入時と現在の家計の収支状況の違いにも合わせた対応が必要となってきます。住宅ローンは、原則として「不動産を購入した当時の状況を踏まえて金融機関が貸している」ものです。したがって、条件を変更したり、金融機関との交渉をする必要がある場合は、現状との照らし合わせを先に行わなければなりません。離婚後に誰が物件に住み続けるのかという点によっても変わってきます。

現状を把握する

住宅ローンで住宅を購入した際には、さまざまな契約が付帯していることが一般的です。契約内容はどのようになっていて、誰が主たる債務者でどのような保証関係になっていたか、すぐに思い出せる方はそう多くありません。借りた残高も、支払い年数によって少しずつ減少していきます。金利の設定の仕方や、物件を購入した当時の借入金額によっても大きく変わってきます。まずは契約内容や物件の条件を確認することから始めます。

不動産の名義を確認する

 不動産の名義人が誰であるのか確認しましょう。不動産を購入した当時の書類に、「不動産売買契約書」があるはずです。これは「誰から誰に物件を譲り渡す」という趣旨のことが記載されています。したがって、その契約書に記載されている方が、物件の所有者である可能性が高いです。念を押して確認しておく方法として、「登記簿謄本」を取得する方法があります。近隣の法務局で物件の登記簿を取得することができます。登記簿には、現在の所有者の情報の名前が記載されています。もし購入からある程度の期間が経っていて、契約書や当時の資料だけでは不安な場合は、登記簿謄本を取得するようにしましょう。住所が正確に反映されているかを確認する必要があるため、いずれにせよ取得することをおすすめします。

不動産の想定評価額を確認する

 不動産の想定評価額を確認しましょう。これは、固定資産税等の公的な評価額のことではなく、「今、売るとなったらいくらで売れるのか」を想定した評価額のことです。両者の性質は似ているようで、似ていません。実際に売り出す価格は地域の不動産価格相場に影響されるため、そのときどきで確認する必要があるのです。この時点では売却することを検討していない場合もあるかもしれませんが、金額を把握することで次の方針が変わる場合もあります。もし思ったより高い金額で売れそうな場合や、今後持ち続けると損になってしまう場合など、ポジティブな面もネガティブな面も総合的に判断することでよりよい方針が取れることもあります。想定の評価額は地域の不動産価格のデータをもとに算出するため、不動産会社等の専門機関でなければ難しいでしょう。事情は伏せた上でも、売却の査定を依頼することは可能です。もしすぐに売却を検討しない場合でも、査定はしておいた方がいいといえるでしょう。

住宅ローンの契約名義人を確認する

 次に、住宅ローンにかかる情報を整理していきます。見なければならないのは住宅ローンの契約者が誰か、というポイントです。住宅ローンを契約している方が、今後も引き続き支払いの義務を負うことになります。ここで、連帯保証人や共同債務者など、様々なパターンが出てくる場合があります。それぞれのケース別の詳細は後述します。まずは誰が住宅ローンの契約当事者となっているのかを確認するようにしましょう。

住宅ローンの残高を確認する

 最後に、住宅ローンの残高も確認しておきます。住宅ローン残高によっても、対応方針が変化する可能性があります。残り何年の支払い期間が想定されているのか、支払い義務者の経済的事情を鑑みて無理のない返済か、などが確認するポイントです。あくまで住宅ローンは、購入当時の状況を踏まえて、無理のない返済が想定されています。金利も上昇しているケースが少なくありません。「支払えど支払えど金利」になっていることもあります。もし金利が高すぎる場合などは、住宅ローンの借り換えも検討しましょう。

2つの名義人を今後どうするのかを考える

 重要なのは、住宅ローン名義人と住宅の名義人の2つの名義人です。一般的にこれらは統一されていることがほとんどですが、2つの名義人が違う場合もあります。離婚した後の支払い方針を決めるにあたって、方針の検討が必要になるのはこれら2つの名義人についてです。どなたが物件を所有して、支払いを継続するのかは今後の住まいを決める上でかなり重要な条件です。どなたが住まうのかによっても、大きく方針は変わってくるでしょう。もし物件の名義人の支払いの名義人が違う場合には、支払いが滞った際や支払いが完了した際にどうするのか、対応を想定した覚書や公正証書等による書面での約束ごとを決めておくことが推奨されます。不測の事態に備えて、当事者同士の方針を決めておくことでトラブルを防止することができるのです。

住宅ローンの契約形態と連帯・共同債務

 住宅ローンは、借入の仕方によって返済の義務が誰にあるのかが変わります。連帯保証人・共同債務者・連帯債務者の違いが混同しやすいポイントとして挙げられます。それぞれどのような特徴があるのか、整理をします。

ペアローン(共同債務者)の場合はどうなるか

 ペアローンの特徴は、例えば夫婦の場合、夫婦それぞれが各々の借入をしているような契約状態になっています。お金の借入をする契約が2本存在することとなり、それぞれ金銭消費に関する借入の契約書が存在するはずです。夫婦2人とも支払いの義務があるようになるため、離婚後の方針について合意形成が必ず必要です。たいていの場合、ペアローンには連帯保証人制度が付随していますので「自分の支払い分だけを負えば大丈夫」とはならない可能性が高いことに注意をしましょう。ペアローンと言えど、それぞれの信用を併せて物件を購入するための借入をしている場合がほとんどなのです。

連帯債務者・連帯保証人の場合はどうなるか?

 連帯債務者と連帯保証人には、多くの共通点があります。ここでは、よくある事例として夫婦で連帯債務にした場合と、夫を主債務者に、妻を連帯保証人にした場合を取り上げます。いずれの場合も、夫婦ともに支払いの責任が生じる可能性があります。例えば、連帯保証人の場合は「連帯保証人に請求する前に、主たる債務者へ請求してほしい」と請求する権利も認められていません。契約形態は異なれど、ほとんど同じようなものです。

保証人を外すことはかなり難しい

 連帯保証人を外して、主たる債務者のみの契約にするケースが考えられますが、実際のところ連帯保証人を外すことはかなり難しいといえるでしょう。購入当時の状態を踏まえてお金を貸している金融機関がほとんどのため、その後の条件に応じて調整することは難しいのです。連帯保証人を外すということは、金融機関の立場から見ると不安要素の一つです。こういった意味でも、金融機関との相談・交渉はいずれの場合も慎重に行う必要があります。

想定評価額ケース別の整理

 不動産会社に想定の売却金額を算出してもらったら、その金額に沿った形で対応方針を検討しましょう。売却想定金額と住宅ローンの借入残高を比較して、どちらの方が高額なのかによって取れる対策は大きく異なります。売却時の諸経費を見込んでおくよう、検討する際には注意が必要です。「売却した金額=手元に入る金額」ではなく、売却した金額から「売却にかかった経費」を差し引く必要があるのです。物件の種類や売却手法によっても大きく変わりますが、売却金額の5~10%を見込んでおく必要があるといえるでしょう。この経費の金額はケースバイケースですから、不動産会社に事前に相談しておくことがおすすめです。

 オーバーローンの場合

 厳密には定義と少し異なりますが、「手元に入る金額より、借入の金額が多い」場合は、オーバーローンと呼ばれる状態です。仮に物件を売却した場合でも、借入を打ち消すことができない状態です。不動産を売却してローンが残ったら、別途追加で支払いを求められることになります。ローンの残りだけを割賦払い形式にできる場合もありますが、一般的には一括払いでの対応を求められます。住宅ローンの借入時には物件に抵当権をつけています。この抵当権をつけたままでは、次の人に譲り渡すことができません。不動産売買契約書にも、抵当権を抹消した上で引き渡す旨が明記されます。抵当権抹消には、借入金の返済をすることが必要になるのです。オーバーローンとなることが見込まれる場合には、支払いの負担などの方針を慎重に検討する必要があるでしょう。

 アンダーローンの場合

 「手元に入る金額より、借入の金額の方が少ない」場合は、アンダーローンに該当します。アンダーローンのときは物件の売却で住宅ローンの解消が見込めるため、比較的

スムーズな対応が望めるでしょう。ただし、手元に入る金額をどのように分配するのかについて方針を決めることが必要です。アンダーローンの場合は、離婚における財産分与の対象にも該当する場合があります。売却した時の全額ではなく、売却後に返済したのちに残った財産について、分与の対象となります。物件の売却も視野に入れている方にとって、アンダーローンの状況は望ましいものといえます。

一般的な対応4パターン

 離婚にともなう物件の対応はケースによって千差万別です。物件を購入した当時と現在の状況は大きく変わることがほとんどですし、離婚後の居住状況は家族によっても違います。したがって、実際に同じ対応がとられることはありませんが、その中でも取れる対策の傾向を以下にまとめています。「こういう方法もあるのだな」と一般的な対策を把握しておくようにしましょう。

 ①家を売却する

 物件を共有している場合や、連帯債務や共同債務などでローンの負担を共有している場合には売却する手法が効果的です。万が一継続的に所有したのちに、どちらか一方が返済不能になった場合に、もう一方が肩がわりしなければならないリスクを避けることができます。また、離婚後も継続的にやりとりをしなければならない可能性があることもデメリットに感じられる方が少なくありません。新たな生活をスタートさせるにあたって、共有の財産は時に足枷になってしまいます。費用がかかったとしても、長期的に安心できるのは家を売却することだと言えそうです。

 ②共有名義のものを、片方の全部名義に変える

 共有名義のものを、片方の全部名義に変えるという手法も考えられます。専門的な用語で「債務引受」といって、他の人の借金まで背負うことを指します。この手法を取ることができれば、借入を一本化し、支払い義務も1人に集約させることができます。ただし、共有名義のものを1人に集約させるには借入の信用力が必要となります。これまで2人で背負っていたものを1人で背負うこととなれば、金融機関も慎重になるためです。収入等の経済的状況や、勤務先への勤続年数など社会的な状況など、複合的な要因を審査して可否を決定する場合がほとんどです。借入をしている金融機関に相談をして、一本化が可能か相談してみるようにしましょう。一本化は住宅ローンの借り換えをすることが一般的です。借り換えには、手数料がかかることにも注意しておきましょう。条件や金額によって大きく変わりますが、数十万円〜百万円程度かかる場合が多いです。

 ③離婚後も住宅ローンの名義人が住み続ける

 住宅ローンが単独名義で、連帯保証人等もなく借りられている場合は、名義人のみが居住を続けることは問題ありません。支払い義務も居住する人に集約されているため、特に対応の必要がないともいえます。

 ④離婚後も住宅ローンの非名義人が住み続ける

 非名義人が居住を続ける場合には、注意が必要です。いつまで住み続けるのか、もし名義人の支払いが難しくなった場合はどうするのかなど、想定されるケースの対応を事前に決めておく必要があります。もし可能ならば、契約書や覚書、公正証書などの書面で残しておくことがおすすめです。万が一のことが起きた後に調整を始めるとトラブルになることが多く、費用も時間もかかるためです。支払いが数ヶ月滞ると、債権者は物件の競売や差し押さえを検討するようになるでしょう。問題が起きてからの対応では時間が足りないことがほとんです。非名義人が住み続ける場合は、そういったリスクも踏まえた上で判断する必要があります。

まとめ

 離婚における住宅ローンの取り扱いは、専門家によるアドバイスを受けながら対応することをおすすめします。もし夫婦間での協議が整わない場合には、弁護士へも相談しておきましょう。夫婦での交渉ごとにおいて、弁護士資格をもたない者が代議行為を行うことは法律で制限されています。逆に、いくらで売却できるのか、という目利きは不動産会社の専門分野です。複数の専門家の意見も募りながら、適切な判断をするように心がけるとよいでしょう。

 

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