【義務化】相続時に不動産の名義変更をしなかった人の末路とは…登記申請に流れや必要な書類を解説!

以下のような方に読まれています
親や親戚が亡くなったあと、不動産の登記をそのままにしている
相続登記の義務化があるとは聞いたが、どうなるかよく知らない
ちょうど今相続に取り組んでいるが、流れや方法を知りたい
義務化されるなど、多くの人にとって影響のある不動産の相続登記
登記の専門家である司法書士の合格率は約4%!です。
専門家でも難しいと感じる登記の知識ですが、一般の方でも知っておいた方がいい知識もあります。
今すぐ必要でないとしても、将来に備えて知識を身につけておきましょう。
この記事を読むことで、相続登記がなぜ必要なのか、相続登記の流れや必要な書類を把握することができます。
相続登記しないことによって起きる4つの問題
もし相続の際に、身近に司法書士がいたり不動産会社がいた場合には対応したかもしれませんが、現在のところ相続登記は義務ではないため、手続きを済ませてない方も少なくないでしょう。(※相続登記は義務化されます。詳しくは後半で解説します。)「登記」と聞くと手続きが面倒だと思われる方が多いかと思います。しかしだからといって放置をしてしまうといろいろな問題が出てきてしまいます。
問題① 相続人が増えて対処が難しくなる
相続登記をしないまま物件を放置してしまうと、物件の相続対象者が時間の経過につれて増えていくことになります。ご自身や親戚にお子様が生まれた際には、そのお子様も相続人としての権利を得ることになります。世代を超えて相続人としての権利を継承していくと、あまり身近でないと感じられる方が相続の協議に介入する可能性が高まっていきます。相続登記をしないまま、権利が複数の人に及ぶほど、物件の将来の方向を定める協議が大変難しくなっていくのです。相続が発生した当時の状況を知る方や、被相続人の思いを汲む方の不在は相続登記をさらに難しくする要因であるといえるでしょう。
問題② 相続人の事情で不動産が差し押さえられるリスクがある
不動産を取得する権利があるにもかかわらず、相続登記をしなかったために、不動産を他人から差し押さえされてしまう可能性があります。万が一、共同で相続をする方の中に借金がある場合が当てはまります。共同相続人が借金をしていて、返済が滞った等の事情で債権者が取り立てをしようとした場合、債務者である共同相続人の不動産持分を差し押さえることができるのです。借金を抱えている共同相続人の不動産取得状況にかかわらず、差し押さえ登記をされてしまうため、第三者である債権者とのトラブルに発展してしまう可能性があります。差押登記のある物件は売却や資産化が極端に難しくなってしまう上に、ご自身の持分の価値にも影響してしまうため、避けたいリスクのひとつであるといえるでしょう。
問題③ 土地の資産としての価値が凍結される可能性がある
仮に相続登記をしないまま、共有の状態では不動産の売却は原則的に難しいとされています。共有している一部分だけを購入するのは専門的な知識をもった不動産や法律の専門業者に限られてしまい、価格は極端に下がることになります。担保への組入をしてお金を借りることも難しいため、実質的には資産としての価値が凍結されている状態ともいえるのです。せっかく受け継いだ資産を動かすことができなくなることは、相続登記をしないことによる大きなデメリットの一つです。
問題④ 子の代に受け継がれる
親の逝去にともなって発生した相続登記をそのままに、自身の相続が発生してしまうと、子供の代でさまざまな手続きをとらなくてはいけません。 また、親の代の相続登記と、自身の相続登記を複合的に対処しなければならないため、子の代では一層難しい相続になることが予想されます。相続登記は義務化されてしまうため、先送りした場合にはその分を次の世代が対処しなければならないのです。面倒なことをより面倒にせず、ご家族との関係を良好に保つためにも、未然に対処する姿勢が必要だといえるでしょう。
令和6年4月1日より相続登記の義務化が開始!影響は?
不動産の相続登記が未登記のままになっている状態にあまりにデメリットが多く、国内の資産のさらなる凍結を防ぐために、国も対策を始めました。民法の一部が改正され、令和6年4月1日からは相続登記が義務化されることとなったのです。義務化以降は、不動産所有者が亡くなった際に、相続の開始を知り、かつ物件の新たな所有者となったことを知ってから3年以内に相続登記をしなければなりません。「相続の開始を知る」とは、「所有者が亡くなったことを知る」という意味です。つまり、「亡くなってから」ということではなく、「亡くなったことを知ってから」という意味です。物件の所有者となったことを知ることも要件として定められているため、物件の存在を把握していなかった場合には「義務化」の要件には当てはまりません。
なぜ義務化されたのか
この改正の主な目的は、「所有者不明土地」の発生・増加を防ぐためだとされています。先述したように、不動産の共有者が増えれば増えるほど、現在の所有者全員を把握することは難しくなります。筆者の周囲では、相続登記を放っておいた土地をいざ手続きしようと、専門家を通して調査すると所有者の1人が海外にいた、という事例もありました。日本国内ならまだしも、海外に共有者がいる場合は協議が難航する可能性も高くなります。物件の現地を把握することができず、そもそも物件の所在を知らせることが難しいためです。グローバル化が進むにつれ、こういった案件は増えていくことが予想されるでしょう。
法律施行前の相続も義務化対象になる
法律が施行されてから、施行以前の案件にも適用されることを「遡及」するといいますが、相続登記の義務化は「遡及」適用があります。令和6年4月1日以前に相続があった物件でも、当てはまる場合には速やかに登記をすることが求められます。仮に上記の義務化に当てはまっていたにもかかわらず、登記を怠った場合には過料が課せられることもあります。どなたも関係なく当てはまりますので、申請がまだの物件が身の回りにある場合は、できるだけ速やかに相続登記を済ませておくことがよいでしょう。罰則を免れるため、施行直前になって「駆け込み」的に相続登記が殺到する可能性も捨てきれません。
令和8年を目処に登記の氏名変更や住所変更の登記も義務化される
令和8年には、氏名や住所変更の登記も義務化が予定されています。転居などに伴う住所変更や、入籍等に伴う氏名変更がある場合にも、忘れずに登記を行うようにしましょう。
登記にかかる期間や手続きの流れ
相続登記にかかる期間は、開始から完了までで一般的には1ヶ月程度必要です。ただし、申請前の準備にかかる時間が案件によって大きく変わるため、スムーズにいって1ヶ月という感覚です。登記にあたって遺産分割協議書を取りまとめることになれば、複数回にわたっての面談が必要になることもあります。協議の進行は家族の関係性にも依存してしまうため、もし意見が対立してしまった場合には数ヶ月〜数年かかってしまうこともあります。申請してから完了するまでは、おおよそ2~3週間の時間がかかることが一般的です。相続登記の基本的な流れについて把握しておくことで、全体のスケジュールを見積もることができます。今現在、相続登記に取り組まれている方も、自らの状況に合わせて適切な計画を立てるようにしましょう。
①現状を把握する
まずは、登記事項証明書を法務局で取得しましょう。不動産会社に依頼している場合は、不動産会社が登記簿を取得している場合もあります。登記簿は公的な書面でありながら、どなたにも公開されている情報です。不動産所有者はもちろん、不動産会社やそのほかの第三者でも、法務局に行けば取得することができます。不動産登記には所有者の名前を示す欄があります。そこに亡くなられた方のお名前がそのまま残っている場合は、相続登記をすることが必要です。そのほか「差押登記」がないか等も確認するようにしましょう。
②遺言書があるかないかを確認する
相続登記をする際には、「遺言書」があるかないかで対応の方針が変わります。お手元・ご家庭に「遺言書」の保管がないかを確認しましょう。以下に、ケースごとの対応方針を整理しています。
(i)遺言書がない場合は、法定相続分の通りか、遺産分割協議の結果に沿って登記できる
遺言書の指定がない場合は、自分の持分である「法定相続分」か、遺産分割協議の内容に沿って登記することができます。物件の権利を複数の権利者の中で特定の人に集中させたり、偏りのある形で持分を分ける場合には、遺産分割協議で同意を得ることが必要です。一般的には、その後の物件の利用をスムーズにするために、遺産分割協議を経て権利者のどなたか1人に名義変更する場合が多いです。
(ii)遺言書がある場合は、遺言書で指定のある人以外の協力は必要なくなる
遺言書がある場合には、遺言書の内容に沿って登記を行うことが必要です。遺言書では、相続後の不動産の名義変更をスムーズにするため「権利者の誰かに一任する」方針が取られることがあります。この場合はこの内容で相続登記が可能です。しかし、他の相続人の共有分の権利を侵害するような配分で登記をしてしまうと、後々のトラブルになる可能性もあります。法定相続人の中には「遺留分」と呼ばれる持分があります。これは、「遺言で全部指定したとしても、一部は他の相続人にも割り振る」ように制度が設計されているためです。遺留分を侵害された共同相続人には「遺留分請求」を行う権利が認められています。
(iii)遺言書と異なる内容で名義変更は、相続人全員の合意があれば可能な場合もある
仮に遺言書で指定があったとしても、それとは異なる対応をすることも可能です。ただし、共同相続人全員の合意がある場合に限られています。相続人同士の話し合いでの解決がいずれの場合も重視されていますので、全員が納得できるような相続の方針を決められるようにしたいものです。
③法務局へ提出する書類を入手・作成する
ここまでできれば、法務局に提出する書類を用意します。下に一覧を示しますが、できれば司法書士などの専門家に相談するようにしましょう。登記は間違えてしまった際のリスクが大きいため、専門的な知識が不可欠だといえます。
法務局に提出する書類
- 登記事項証明書
- 固定資産税納税通知書
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続する人の住民票・印鑑
- 印鑑証明書
- 死亡した名義人の除籍謄本・改製原戸籍
- 死亡した名義人の住民票除票または戸籍の附表
- 遺言書や遺産分割協議書、相続関係説明図など
※そのほか、遺言書の有無 等によって必要な書類は変化します。
④法務局に申請する
法務局に書類を揃えて申請します。
まとめ
ここまで、不動産の相続登記に関する情報をまとめました。令和6年から義務化となるため、義務化してから対応するのではなく、事前に対応しておくことをおすすめします。相続登記は相続する方であれば自身で申請することもできますが、万が一のトラブルを防ぐためにも、司法書士の先生に依頼しましょう。揃える書類も聞きなれないものも多く、登記申請後に不備があると何度も法務局へ足を運ばなくてはならないこともあります。
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