住宅ローンのゆくえ

日本の住宅ローン金利が上昇する可能性があるとの見方がある。現在、住宅ローンの金利は低水準が続いているが、インフレ、金融政策の変化などが可能性を示唆する要因だ。米国や欧州などの中央銀行が金融緩和政策の縮小を進める中、日本の金融政策にも変化が起こる可能性がある。金利が上昇すると住宅ローンの返済負担が増加するため、借り手にとっては厳しい状況となる。

金融機関の75%が住宅ローンに「積極的」

日本住宅金融支援機構が2022年7月から9月にかけて301の住宅ローンを扱う金融機関に調査を行い、その結果、金融機関の75%が新規住宅ローンに積極的に取り組む姿勢を示し、そのうち60%は商品力の強化を図ることを回答した。ただし、国内景気低迷や金利上昇による延滞リスクへの懸念も高まっていることが明らかに。調査結果から、55.3%の金融機関が借り換えに積極的に取り組んでいることが分かった。

住宅産業は国家を支える基幹産業の一つであり、一般市民にとって生活の基盤となる住居の提供おいて重要な役割を果たす。そのため、住宅ローンの趨勢は経済全体の行方も左右する重要な指標の一つである。住宅ローンを通じて購入される住宅は、建設業を始めとする複数の産業を支え、それらの産業が活性化することで国内経済全体が底上げされる。住宅ローンの貸し出しや返済が順調に進むことで、金融機関の健全性も保たれるわけだ。そのため、住宅ローン市場は金融市場全体の安定にも影響を与えることになる。

住宅ローン市場が安定的に発展するためには、長期的な視点で住宅ローンを組成していく必要がある。加熱は何事もよくない、判断は冷静に。ということだろう。