ロマンの自由建築 コスパの建売

建売市場が全国的に堅調である。特に都市部では、郊外の建売に人気が集まっているらしい。リモートワークも浸透したことで、通勤の融通よりも済みやすさを優先しやすくなったことも背景にはあるだろうか。

マイホーム市場、建て売りと注文住宅で「明暗」の理由

学生時代の友人が東京にいる。住宅ローンの金利が低く、購入できる金額幅がとれることから不動産購入に前向きな人が多いらしい。共働きが一般的で「パワーカップル」なんて言葉もある時代だ。ペアローン等の商品も柔軟性高くラインナップされている。賃貸で高い家賃を払うならいっそのこと、と「東京にマイホームを持つ」という建売業者が当たっているのも頷ける。

自由建築と建売、その選択は哲学に近い。自由建築の夢、配置から内装まで 何もかもが自由である。「夢のマイホーム」という標語はなぜか自由建築が纏う。一方で建売のコストパフォーマンスも捨て難い。必要十分な内容は揃っていて、間取りも気が利いている。安くても十分な素材も確かに存在するほど、住宅産業は成長した。

メリット・デメリットを挙げれば尽きない。周りが建売だから私も、と必ずしも思う必要もないし、「家はできるだけ価格を抑えて旅行に」という発想も今どきである。住宅を選ぶことそれ自体を大きなライフイベントとして捉え、じっくり取り組みたいものだ。