未利用と意味付け
サステナビリティ、「持続可能な〇〇」という言葉が現れて久しい。2010年代の中盤くらいから官公庁、各種団体がカラフルなバッジをつけ始め、今となっては毎日見かけるようになった。その流れで、というべきかはわからないが、「未利用魚」というワードが取り上げられている。
概要をまとめると、「これまで一般に食用として流通していなかった(未利用の)魚が、市場に出回って好評だ」という話である。よくよく調べると、たしかにあまり馴染みのない魚が多い。巣篭もり需要で食に対する関心が高まり、「持続可能な〇〇」とも利害が一致してマーケットが活性化しているような現状だろう。
不動産業界にも「未利用」はたくさんある。空き家・空き地・空きテナント…社会問題になっているのは自明だが、この業界の「未利用」もっと根深い。「所有者不明土地」なるジャンルがあるのだ。
改正所有者不明土地法に関するガイドライン等を公表~改正所有者不明土地法が施行されます~
「未利用」の物件を活用する前に、「だれのものかわからない」という事態が各地で発生している。国土交通省もガイドラインを発表するなど対策に積極的だ。そもそも「所有者不明土地」が出てしまう仕組み自体に問題があったはずで、「所有者不明土地の所有者」という不思議な表現に違和感も残るが、ガイドラインを示したことには一定の気概を感じる。
「これまで使ってなかったもの」を蘇らせたり、それらに新たな役割を見出すと言う行為は「意味」を生み出す。昨日まで転がっていたものが、明日には誰かにとって意味のあるものになるかもしれない。未利用に意味を生み出す、これは不動産屋の醍醐味の1つだろう。